大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(う)1085号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕論旨は、被告人吉野の原判示第二三、一、の(二)、(五)および(七)、並びに被告人大沢の原判示第二四、の(二)、(五)、および(六)の各所為について事実誤認を主張し、右事実において被告人等が供与を受けた金員は被告人等の勤務時間外におけるいわゆるアルバイト行為に対する報酬であつて、被告人等の職務に関するものではないというのである。

しかし、右事実において被告人両名がそれぞれ自宅において納税関係者の依頼によつて申告書を作成した行為はやはり被告人両名のそれぞれ職務に関するものと断定せざるを得ない。けだし、右対象となつた案件はいずれも被告人両名が当時勤務中の立川税務署(被告人大沢の原判示第二四の(二)については当時同人が勤務していた武蔵野税務署)が管轄権限をもち、しかも被告人両名が所属していた資産税係の担任案件そのものである。結局原判決が詳細に記載しているように、被告人両名の右所為が勤務時間外に自宅で行われたとしても税務署員としての申告指導の面をも有していることを否定することはできないのである。そして申告指導は被告人両名のそれぞれ職務の行使そのものである。もつとも被告人の右所為が税務署職員としての立場からする申告指導のみと見ることができるかは疑問なしとしない。むしろ、依頼者側の立場に立つてその依頼に基づいて依頼者側の利益を念頭におきながら申告書を作成してやつたのではないかとみられる節もある。しかし、それにしても、関係納税者らが被告人両名に右申告書の作成を依頼したのは被告人両名が所轄税務署の当該税務の担当職員であるが故であり、当然、右申告書を前提としてその後行われる徴税事務に際して好意ある取り計らいを期待しているからと認められ、被告人らもこの間の事情を了知して申告書を作成してやり本件各金員の供与を受けたものと認められるのである。被告人両名が担当職員であることを抜きにしては考えられないのである。してみれば、原判文の措辞は必ずしも適切でない点もあるが、本件金員はやはり、被告人両名の職務に関する不法の対価と断ぜざるを得ないのである。その他原判決挙示の証拠によつて、それぞれ右各事実を認めることができるのであつて、原判決には事実の誤認はない。(新関勝芳 大平 要 伊東正七郎)

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